逆三角関数の加法や相互関係
前書き
物理の課題(例えば幾何光学など)について研究するときには、 みたいな式が現れる場合があります。関数電卓で数値解を容易に得られますが、その値が一つの逆三角関数で表せるかどうかがすごく気になっていました。
目次
逆三角関数の基本的概念
定義域と値域
逆関数の定義がいつくもありますが、ここでは全単射な関数が逆関数を持つという定義を使います。三角関数は全単射ではないので、全単射である区間を取って(定義域の部分集合への制限とも呼ばれ)その逆関数を定義できます。
関数 | 定義域 | 値域 |
---|---|---|
] | ] | |
] | ] | |
逆三角関数の加法*1
導出
] に対して、, と置きます。 正弦関数の加法定理を使うと、下記の式が成り立つことを確かめられます。
さらに進めて、公式 を使ってみると、 という結果を導いたかもしれませんが、まだ正しいとは言えません。正負の判断が必要です。この式だけに注目してみましょう。実は:
こそ、正しい結論です。さらに議論を進ませると、] なのでこの時 であり、 に対しても同様。
よって、
が成り立ちます。この時、両辺を直接 を取ったらいいと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、まだそうできません。 の値が区間 ] に含まれていますが、 は区間 ] に必ずしも含まれています。 つまり、
ということです。同じ方法で、 と の公式を導くことができます。
結論
関数 | 公式 | 適用範囲 |
---|---|---|
逆三角関数の相互関係
導出
と置くと、 が容易に導出できますが、これだけだと物足りなく感じます。 続いては との関係を深掘りましょう。
, と置くと、, であることが確認できます。(ただし、
結論
番号 | 式 |
---|---|
1 | |
2 | |
3 |